ロンジン: ハンドメイドウォッチメイキング、情報提供のみ

先日、時計愛好家の方から、ロンジンの懐中時計を委託したいというお届け物がありました。 彼によると、この懐中時計はとても変わっているそうです。

パッケージを開けて手に持ってみると、すぐにその "重さ "を感じました。

この "重さ "はいくつかの原因がありますが、まず第一にフロント面です。 文字盤はホワイトエナメルで、ローマンインデックスにはオービタルスケール、針にはベークドブルーを採用しています。 針は深みのある青みを帯びたベークドブルー。 深い歴史を持つアンティークの懐中時計のような雰囲気を持っています。

重厚感」の2つ目のポイントは、ケースです。 ケースは複雑なハンターケースで、壊れやすいクリスタル、エナメル加工された文字盤、ムーブメントを保護するために、表と裏で閉じられるようになっています。 また、ケースにはバラの旋盤で微細なギョーシェ模様が彫られており、側面にもコインのモチーフが施されています。

その "重さ "をより端的に表しているのが、シルバー925で作られたケースの内側に貴金属で「アヒル」の形をした刻印がされていることです。 ゴールドほどではありませんが、直径56mmのケースは厚みがありますので、全体で176gとなります。

この "重さ "の最も顕著な点は、ケースの層の下にあるムーブメントです。

まず、ムーブメントには伝統的な金メッキが施されています。 現在、私たちが目にする時計のムーブメントの多くは、ニッケルやロジウムでコーティングされており、銀白色の光沢を放っています。 アンティークウォッチのムーブメントの場合、「ギルディング」と呼ばれる異なるタイプの仕上げが施されています。 金箔は、金と水銀を混ぜて「金のアマルガム」を作り、それを対象物の表面に塗布した後、加熱することで水銀を蒸発させ、金を表面にとどめておくというものです。 この技術は美観や防錆のために使われていましたが、水銀には毒性があるため、比較的環境に優しく安全な電気メッキに徐々に置き換えられていきました。

次に、このムーブメントのプレート回路のデザインは、現代の懐中時計によく使われているETA6497とは異なり、3分の2のブリッジのレイアウトは20世紀のスタイルです。 ムーブメントに刻まれたロゴも、1860年代にロンジンが使用していた「翼のある砂時計」の形をしており、ロンジンの創業者フランシロンの名前が記されています。

一見すると、このロンジンの懐中時計は100年以上前のものだと思われがちです。 しかし、ケース内側の刻印から1992年のものであることがわかります。 まだ27年しか経っていないので、懐中時計としては何の問題もありません。

なぜこんなに「重い」のか？

なぜなら、それは「職人による時計作り」がなくなったことを記念する作品だからです。

ロンジンのルーツは、1832年にアガシがスイスで小さな時計製造会社を設立したことに始まります。 当時は、農夫や牧夫が自分の家で時計を作る「エタブリサージュ」というモデルが一般的でした。 アガシ自身は、これらの商品をまとめて販売する役割を担っていた。

エタブリザージュ」モデルは、多くの時計メーカーがそう呼ぶようになったように、厳密には「伝統的な時計製造」です。 雪の降る冬の間、"時計屋 "は自宅にこもり、ヤスリやワイヤーカットを駆使してムーブメントを手作りする。

しかし、実際には、「感傷的」「職人的」という響きとは別に、このような手作業では、あまり良い製品はできません。 手積みの荒いムーブメントは、サイズが全く異なり、組み立てには再度の調整が必要で、後から修理しても交換できないなど、時計開発の大きな障害となっていました。

1854年、アガシの甥であるアーネスト・フランシロンが家業の経営を引き継いだ。 彼のリーダーシップのもと、元々の時計メーカーは大きな変化を遂げました。 1867年には、時計製造に必要なすべての技術を結集した初の総合工場を開設し、正式に「ロンジン」と命名した。 ここでは、伝統的な手作業による時計製造は廃止され、標準化された工業生産に取って代わられました。

この年、ロンジンはブランド初の完全自社製キャリバー「20A」を発表しました。

中国では、重要な出来事を記念して、50年や100年といった整数を選ぶことが多い。 一方、外国人は、パテック・フィリップの175周年やランゲ1の発売25周年など、25の倍数の数字を好みます .....

1992年は、ロンジンが正式に誕生してから125周年という記念すべき年でした。 ロンジンはこの記念すべき年を、グループから格下げされたにもかかわらず、盛大に祝いました。 そして、このがっしりとしたロンジンのポケットウォッチは、その年に1,000本限定で発売された製品です。

20Aは、ブランド初の完全な自社製ムーブメントであるだけでなく、後進の職人による時計製造の終わりを告げるものでもありました。そのため、ロンジンはあえてこの年の懐中時計を再現することにしました。 残念ながら、125年経った今、その年のオリジナルキャリバーを見つけることは困難です。 このような状況下では、ほとんどのブランドは、形状を再現し、ムーブメントを現代のものに合わせなければならず、その方がコスト的にも有利だったでしょう。

しかし、ロンジンは、ヴィンテージの20Aムーブメントをベースに、125年前のオリジナルデザインと仕上げを用いて、Cal.840ムーブメントを再開発するという「前例のない」取り組みを行いました。 ロンジンの公式アーカイブによると、20Aのムーブメントをより正確に再現するために、少なくとも1990年にはCal.840の開発が計画されていました。

職人の手による時計作り」とは、厳密には「デザイン、部品の製造、組み立て」を意味します。 精密機械式時計として、正確な時間を刻むためには、工業的な標準化を優先して製造されたものでなければならない。 そして、時計の歴史がそれを証明しています。

15世紀末から1850年までの時計製造は、厳密な意味での伝統的な手作業によって行われていた。

1850年から1990年の間に、標準化された部品を機械で生産することが、伝統的な手仕事に徐々に取って代わった。

1990年代以降は、コンピューターと数値制御機械の発達により、機械の自動生産が大幅に促進され、デザインもコンピューターによる計算で可能になったものもある。 多くの時計ブランドが "ハンドメイド "と宣伝していますが、実際には簡単な加工と後からの組み立てに過ぎません。 多くの時計愛好家が想像しているように、時計屋さんの苦労というものはありません。

2013年、スウォッチ・グループは「Sistem 51」を発表し、時計業界を新たな高みへと導きました。 この時計は、部品の製造だけでなく、組み立てや精密な調整もすべて工業的に自動化されています。

"手づくり"≠"良い時計 "であり、機械による標準化された生産が、かえってより良い製品を生み出すことは、数え切れないほどの歴史が証明しています。

150年前にロンジンが排除した「職人的な時計作り」は、「For information only」という宣伝文句に過ぎなくなった。 今では一部のモデルを除いて消滅してしまいました。

https://www.soocopy.com/

昨年登場したインディペンデント・ウォッチメーカーのRexhep Rexhepi氏は、シンガポールの時計専門誌SJXのインタビューで、小さな目標のひとつとして、時計作りに励み、その後、CNCマシンを購入することを明かしています ......